天王さま
古くより「お天王さま」と呼ばれ親しまれる上溝夏祭りは、相模原市三大祭のひとつであり「かながわのまつり五十選」に入る祭です。亀ヶ池八幡宮の末社である八坂神社の御祭神、「須佐之男命(すさのおのみこと)」(※別名:牛頭天王)を各町会の御神輿に祀り、町内の疫病除け・安全を祈願します。
上溝の夏を彩る風物詩がお天王さまです。
特色
江戸時代から続く歴史あるお祭です。宵宮、本宮と2日間にわたって、上溝の町内を20基を越える神輿が練り歩きます。この2日間は上溝の商店街に数百の露店が建ち並びます。八坂神社の御祭神をお祭りするため、八坂祭と言います。
上溝夏祭りは、古くは「お天王さま」と呼ばれ親しまれたお祀りでした。このお祭の歴史は古く、江戸時代より前から続いていると言われていて、江戸時代後期から盛大になり、今では30〜40万の人が訪れる神奈川県北最大の規模、賑わいを見せる大きなお祭となっています。
このお祭は、お天王さまこと「須佐之男命」に町内平穏・氏子安泰、疫病退散・交通安全の祈念をいたします。須佐之男命のお力によって、各町内に病気が流行せず、氏子の皆さんが安心して生活が出来ますようにと願うのです。
宵宮、本宮
このお祭は2日間にわたって行われ、1日目を宵宮、2日目を本宮とし、宵宮は7月27日本宮は7月28日でした。「天王さま」と呼ばれるお祭は全国的に7月下旬頃に行われています。
しかし近代になると、平日にこのような大規模な祭礼行事を行うことは困難になり、現在は7月の第4土曜日曜を宵宮本宮として行われます。
御霊入れ
神様に御神輿にお遷りいただく「御霊入れの儀」を行います。上溝町内には13地区あり、それぞれの地区の神輿庫に安置されています。このお祭前にはもちろん手入れをして、神様がお遷りになれるよう準備をしています。
一昔前は、上溝の御神輿は全基が亀ヶ池八幡宮境内に集まり、お祓いを受けて神輿渡御の安全を祈り、境内にある八坂神社の御祭神、須佐之男命(別名 牛頭天王)様に神輿にお遷りいただいておりました。
現在は自動車網が発達し、遠くの地区から御神輿を境内に運ぶことが難しくなるなどの事情により、近隣地区に安置される御神輿が境内に集まりお祓いを受けます。そして宵宮の朝またはその前日、各神輿の仮宿まで神職が出向いて、御霊入れの儀を行います。
御霊抜き
お祭が終われば、神様にはお帰りいただく「御霊抜きの儀」を行います。無事に御神輿が巡幸したことを奉告し、感謝の気持ちを伝えてこれからもお守り下さいますようお祈りするのです。
本宮の晩、もしくは翌日の朝に御霊抜きを行い、神輿庫に納めて安置します。
牛頭天王とは
牛頭天王はインドの祇園精舎を守護する神様でしたが、日本に伝わる過程にて新羅国の牛頭山の疫病避けの神様とする説が定着し、日本には疫病避けの神様として伝わりました。
日本では、蘇民将来神話に登場する疫病避けの神様「武塔天神」と同一神であるとされ、武塔天神は須佐之男命の別名であると考えられていたため、須佐之男命=牛頭天王であることとなりました。
須佐之男命は天照大御神の弟であり、ヤマタノオロチ退治の神話で有名な神様です。
習合の中の牛頭天王
牛頭天王は牛の頭を持ち怖い顔で描かれています。諸説はありますがもともと「恐ろしいもの=眼に見えない疫病」という昔からの考え方により、牛頭天王は疫病を流行させる神様だったと考えられます。しかし、「丁重にお祀りすれば災いを起こさず、守って下さる」という考えのもと、疫病を鎮める神様として全国に祀られました。
神仏混淆の時代には各地で神道・陰陽道・仏道それぞれお祭を行い、その地を夏の疫病から守ろうとしていました。
日本での信仰
牛頭天王は江戸時代になると日本各地に「天王社」「勧神院祇園社」「牛頭天神社」などといった社が建てられ、盛んに信仰されていました。各地で牛頭天王のお祭が盛大に行われ、このころ上溝夏祭りの原型が整いました。
明治時代になり政府からの神仏分離令により寺院で祀ることは禁じられ、社名は「八坂神社」や「八雲神社」などに替わり、そして牛頭天王という名前は余り用いられなくなりました。
上溝夏祭りの「天王さま」という呼び方も、牛頭天王のお祭であるという名残なのです。
亀ヶ池八幡宮お末社の八坂神社
亀ヶ池八幡宮本殿裏に祭られている八坂大神は江戸時代に上溝地区そして相模原市内に疫病が蔓延しないように祈願するために京都の八坂神社からお迎えしました。
この八坂神社から各地区の御神輿に御霊をお遷りいただき、七月の「お天王さま」が始まるのです。
勇壮な御神輿
須佐之男命が祀られる、亀ヶ池八幡宮境内の八坂神社。神様は八坂神社から、各町会の御神輿にお遷りになります。その御神輿は各町会内の地区を周り、そして上溝商店街に集結し、お互いの神輿を競い合うように、神様のご神威を高め、神様のご加護のもと地域の発展、氏子安泰、防疫を祈願するのです。
上溝は16地区(四ツ谷・久保・日金沢・本町・元町・田中・本久・石橋・田尻・丸崎・虹吹・番田諏訪面・鳩川・石住・豊原・神明団地)からなっており、ここでは各町会の御神輿や山車をご紹介します。
四ツ谷の神輿・山車
久保の神輿・山車
日金沢の神輿
本町の神輿・山車
五部会(元町・田中・本久)の神輿・山車
石橋の神輿・山車
田尻の神輿・山車
番田の神輿・山車
虹吹の神輿・山車
丸崎の神輿・山車
鳩川の神輿
石住の神輿・山車
豊原の神輿・山車
神明の神輿・山車
※ 一部担がれていない神輿もございます。